LANケーブルのCat5eとCat6の違いって何?

パソコンでインターネットをする場合、回線終端装置とパソコンをつなぐために使う
LANケーブルが必要になります。

一応Wi-Fiルーターなどを購入した時に付属しているので、自分で別途購入する必要
というのはあまりない、と考える人も多いのですが。

実はLANケーブルには種類というか規格が色々あるのです。
その中でもCat5eとCat6という規格の違いについて確認していきましょう。

今インターネットをするならCat5e以上のLANケーブルは必須

まずはLANケーブルの規格、Catという種類について。
読み方は「カテゴリー」と言われることが多いです。

数字が大きくなるほど新しい規格ということになります。
そして今のインターネット回線の性能を考えると、Cat5e以上は必要になります。

LANケーブルには性能、というか回線の対応基準があります。
通信速度など影響を与えるところが多い、という特徴的な性能です。

そしてCat5のLANケーブルは性能表で確認すると通信速度の対応が100Mbpsまで
ということになります。

現在の光回線サービスでは下り速度が1Gbpsというサービスが広く普及しています。
つまりCat5では性能不足になってしまうのです。

Cat5eとCat6は下りの対応が1Gbpsなので、今のインターネット回線接続サービスを
使うためには最低でもCat5e以上の規格を使う事が必要というわけです。

ちなみにこの「下り通信速度の最高速度」というのはLANケーブルの場合、100mほど
離れた機材で通信をするときの最高速度です。

家庭内など、もっと通信距離が短い場合にはノイズが入りにくく速度の減衰がないので
対応最高速度以上の数値が出るということはあります。

性能以外の違いは、イーサネット規格の対応の違い

Cat5eはCat5の性能アップさせたものですが、Cat6はちょっと違った理由から作られた
LANケーブルの種類なのです。

それはイーサネット規格の対応の違いを見ればわかります。
Cat5eは今まで使われていた1000Base-Tという規格で使われていたケーブルです。

この1000Base-Tでも1Gbpsの通信速度対応が出来るようになりました。
でも元々1Gbps対応のために作られたイーサネット規格もあります。

それが1000Base-TXという規格で、こちらは今までのLANケーブル規格の
Cat5eが使えないのです。

そのために新しいCat6というLANケーブル規格を作ったということです。
対応表にはCat6では1000Base-TXという表記があります。

ただ現状1Gbpsは1000Base-Tが対応していて、こちらの方は今までのLANケーブルで
利用することが出来るという魅力があります。

そしてCat6のLANケーブルも問題なく1000Base-Tで使う事が出来ます。
つまり現状1000Base-TXを使っている機材はほぼ普及していません。

当然Cat6も問題なく1000Base-Tで使えるので、現在のLANケーブルのカテゴリーの
違いというのはケーブルの性能だけ、ということです。

それぞれの性能でどちらを使うのか選ぶ

基本的には後から開発された規格のほうが性能がいい、ということになります。
今回で言えばCat5eよりもCat6の方が全体的な性能はいい、ということ。

ただLANケーブルの場合は、全ての性能がいいものを選ぶというわけでもなく
それぞれの状況に合わせたケーブルを選ぶ、という方法もおすすめです。

理由としては「コストが大きく変わる」から。

確かに新しいカテゴリーのLANケーブルを使えばインターネット回線接続サービスを
快適に使える可能性は高くなると考えられます。

でも現状Cat7などのLANケーブルが必要になる、自宅の通信環境というのは
ほぼ考えられません。

そして状況によってはCat5eでも十分に通信性能を引き出すことが出来る、という環境も
考えられるのです。

ではそれぞれのカテゴリーのLANケーブルの性能などの違いはどうなっているのか。
Cat5eとCat6の違いについて確認していきましょう。

Cat5eとCat6の違いについて確認していく

Cat5eというのはCat5の性能をアップさせた規格になります。
そしてCat6は1000Base-TXに対応させるために作られた規格です。

ただ発売されたのはCat5eの方が早く、1000Base-TXの普及具合を考えても単純に
「ちょっと遅く発売された規格」がCat6という印象です。

タイミング的には同じような時期に発売されていますが、LANケーブルとしての性能や
その他のところが少しずつ違っているのです。

簡単に説明すれば以下のような違いがあります。

・ 帯域 100MHz 250MHz
・ 伝送距離 100m 100m
・ シールド規格 UTP UTP

数値はCat5e Cat6という順番に記載しています。
LANケーブルとしての性能はそれほど大きく違いがないという印象ですね。

ではそれぞれのケーブル規格の違いについて、比較しながら確認してみましょう。

性能的にはほぼ一緒だが利用帯域が違う

Cat5eとCat6の性能についてはほぼ違いがありません。
伝送速度1Gbpsで伝送距離100m、対応イーサネット規格1000Base-Tです。

ただし1つ、使える帯域が違います。
Cat5eが100MHzに対してCat6では250MHzとなります。

帯域というのは簡単に説明すればパイプの太さです。
数が大きくなれば太い帯域を使って通信をする事が出来ます。

水道のパイプに例えるならCat5eの100MHzは現状インターネット通信をするには
対応できるのですが余裕がない、という状況です。

パイプ全体を使って水を通している状態なのですが、Cat6ではパイプの太さが
2.5倍になっているのでかなり余裕が出来るのです。

今後インターネット回線通信サービスの性能が上がった時に対応しやすいのは
余裕のあるCat6ということになります。

最長距離はどちらも100m

規格別のケーブル最長通信距離を確認してみると、Cat5eとCat6どちらも100m
というのが最長距離となっています。

自宅で使う場合に100mもLANケーブルを使う、ということはあまり考えられませんが
オフィスなどで使う時には注意が必要になります。

ちなみにCat6では1000Base-TXにも対応しているので、そちらの最長通信距離を
確認してみました。

でもやはり同じく100mが最長距離なので、通信の距離に関してはどちらの規格も同じ
ということになります。

シールド規格はどちらもUTP

通信ケーブルの場合、外部からの通信ノイズを遮断するためにケーブルを守るシールド
という保護がされる場合も多くあります。

LANケーブルで言えばCat7ではシールド規格がSTPというシールドケーブルですが
元々Cat7は研究所などで使われるケーブルです。

使う機材にも通信用接地、いわゆるアースを用意したものを使わないとケーブル内部に
ノイズが発生してしまうために通信速度が遅くなるという可能性があります。

つまり家庭で使うならシールドされていないもので十分、ということです。
そしてCat5eとCat6はシールドのないUTP規格です。

最近ではCat7のLANケーブルもそれなりに安くなって購入しやすい金額になりました。
でも自宅で使うには必要のない性能、という印象ですね。

ケーブルの中身がちょっと違う

LANケーブルは規格によってケーブルの内部がちょっと違っています。
今回の場合はどちらもツイストケーブルを4本使っている、ということになります。

2本の線をねじるように1本にしているのがツイストケーブルで、それを4本使っている
というのがCat5eとCat6です。

どちらもツイストケーブル4本に変わりはないのですが、Cat6の方はツイストケーブルが
ちょっと太くなっています。

更に4本のケーブルの間に十字の仕切りがあります。
十字介在というのですが、この仕切があるために通信速度が安定するということです。

LANケーブルは内部で複数のケーブルを使っているので、そのツイストケーブル同士が
干渉をして通信ノイズが発生することがあります。

十字介在を入れていることでそのツイストケーブル同士の干渉がなくなり、通信ノイズが
発生しなくなるということです。

ただし完全にツイストケーブルの電磁波を抑えることが出来るのではなく、更に外部から
通信ノイズの影響を受ける場合には全く効果がありません。

でもLANケーブル自体のネジレ防止などにも役に立つので、十字介在のあるほうが
通信の安定性は高いと言われています。

購入価格はどちらもほぼ変わらない

販売している価格について確認してみると、今の状況ではどちらの規格でも変わらない
金額で購入できることがわかりました。

以前はCat5eの方が安く、Cat6はそれなりに高い金額だったのですが。
最近ではLANケーブルの新しい規格がどんどん発売されています。

最新ではCat8という規格も発売されています。
それ以前のカテゴリーの商品はどんどん安く購入できるようになりました。

そのためかCat5eとCat6のLANケーブルの価格がそれほど変わらなくなっている
という状態になっています。

実際にどれくらいの金額で購入ができるのか。
LANケーブルの種類や長さなどによる価格の違いを確認してみましょう。

Cat5eの標準タイプなら1m190円

基本的にLANケーブルは規格とケーブルの種類、それに長さで価格が決まります。
標準タイプのCat5eの場合、1mの長さで190円になります。

当然メーカーでも価格は変わってきます。
ちなみに今回はサンワサプライの価格を確認しています。

爪折れ防止のカバーが付いているタイプになると、1mで340円となります。
このタイプは0.5mから取り扱いがあり、そちらは310円です。

Cat5eの場合はツイストケーブルの他に長距離で使う時に便利な単線というタイプの
LANケーブルもあります。

単線は高速通信にも強いのですが曲げられる耐性が低いので長い距離の通信に
向いていると言われています。

この単線の場合10m以上がいいのですが、Cat5eの単線10mでは標準タイプでも
2,020円になります。

ちなみにツイストケーブルで10m、標準タイプの場合は680円です。
普通に家庭内で使うならツイストケーブルのほうがおすすめです。

それとコネクタの付いていない、ケーブルのみの場合100mで5,280円です。
自由に長さを調節して自分でLANケーブルを作れる人にはかなりいいコスパになります。

Cat6の標準タイプは1m200円

次にCat6の価格を確認していきましょう。
こちらも同じくサンワサプライの価格を調べています。

標準タイプで1mのCat6のLANケーブルなら200円で購入することが出来ます。
この長さだとほとんどCat5eと違いがありません。

Cat6では更にケーブルの直径が細い、3.8㎜というタイプも発売されていました。
こちらは標準タイプよりも安く、1mで170円です。

ただ爪折れ防止タイプのLANケーブルになると価格が大きく変わってきます。
1mで540円、0.5mでも500円とCat5eよりも高くなる印象です。

Cat6ではケーブルが平たくなっているフラットタイプが多くありました。
こちらは1mで490円、爪折れ防止カバー付きでもこの金額になります。

10mという長い商品でもフラットタイプなら1,350円となります。
標準タイプは10mで980円となっています。

Cat6の特徴としては短いものなら細いタイプ、フラットタイプなど特殊なものも
標準よりも安くなる場合が多いようです。

ただ長い商品になるとやはり標準タイプが安くなります。
ちなみに100mのケーブルのみでは7,180円です。

Cat5eとCat6には大きな違いがないので状況で選んで使うのがおすすめ

性能や価格などを比べてみても、Cat5eとCat6にはそれほど大きな違いが見つからない
というのが正直な印象です。

通信機器として1000Base-TXという規格が普及していれば、間違いなくCat6を
おすすめしているところですが。

現状1000Base-Txが普及する見込みがまったくないので、Cat5eとCat6を選ぶのは
利用している状況によって変わるということに。

基本的なことを言えば、やはりCat6を選べる状況にあるならそちらを選ぶことがいい
とは考えやすいのですが。

状況によってはCat5eでも十分ということも考えられます。
その状況についても確認していきましょう。

かなり長い距離をLANケーブルでつなぐならCat5eがおすすめ

現在ではWi-Fiルーターが普及しているので、遠くの端末と通信をするなら
無線LANを使う事が多いです。

有線LANケーブルを使って接続するよりも手軽で、ケーブル断線などのトラブルの
心配がないというメリットがあります。

ただどうしても有線LAN接続が必要、という状況で一戸建ての1階から2階まで
LANケーブルを持っていくという状況なら間違いなくCat5eをおすすめします。

床にケーブルをそのまま放置しておくと、足をかけるなど危険なことになるので
長距離のケーブル設置では壁に沿わせるなど対応が必要です。

直線距離で設置ができないので、必要なLANケーブルは更に長くなります。
この場合のコストを考えるとやはりCat5eの方がおすすめしやすいです。

隣の部屋にLANケーブルを設置するくらいなら10mも必要ないので、こちらなら
Cat6のフラットタイプや極細タイプを使えばドアなどの隙間に通すことも出来ます。

でも長距離の場合、フラットタイプなどを使うとかなりのコストがかかります。
それよりもCat5eを使うほうがおすすめです。

カーペットの下を通せる超薄型がCat6にはある

リビングにWi-Fiルーターがおいてあって、そこからLANケーブルを使って
テレビをつなぎたいという時にはCat6のケーブルがおすすめです。

帯域に余裕があるという魅力の他にも、Cat6にはフラットタイプという薄型の
ケーブルが多くあります。

更にフラットタイプよりももっと薄く、カーペットの下に設置できるような耐久性も
高くなっている超薄型のケーブルもあります。

これらを使えばLANケーブルを目立たなく接続させることが出来るというメリットが
Cat6にはあります。

テレビをインターネットにつなぐ場合、高画質動画を見るということも多くなるので
無線LANよりも有線LANのほうが動画を見やすくなります。

そんな状況で使うならCat6のケーブルのほうがおすすめしやすいです。

実際にはCat5eとCat6の違いというのはそれほど多くはない

使い方を見てもわかるように、基本的にどちらのLANケーブルも同じように使うことが
出来ると考えられます。

今では価格帯もかなり似たようなものになっているので、Cat6のケーブルでもコストを
あまり考えずに購入することが出来ます。

ただケーブルに金属シールドをしている高品質のノイズ対策をしたCat6ケーブルだと
まだまだ価格は高くなっています。

単純にコストのことを考えるなら現状ではCat5eの方が安くなっている長さも多く
特に長い距離のケーブル設置を考えているならこちらがおすすめです。

どちらもギガビット通信に対応しているので、現状の光回線サービスでも十分に
速度低下をさせずに利用することが出来ます。

対応機器を気にする必要がないので、自分の有線LANを利用する状況を考えて
ケーブルを選ぶことがおすすめです。

パソコンやゲーム機のそばにWi-Fiルーターがあり、1mもあればLANケーブルで
接続可能というならCat6のほうが安くなる可能性もありますし。

私としては距離が短いならコストをあまり気にする必要がないので、Cat6のケーブルを
おすすめしたいところです。